秒速5センチメートル
(2007)
»レビュー
持ち味とマンネリ化
2007/03/13
by
りんぼ
新海監督作品は主に「ほしのこえ」と「雲のむこう約束の場所」の二作品を見て、監督の特色が非常に色濃く印象に残っている。
その要素というのは確かに監督の「売り」の部分になるのだろうが、ややマンネリ化してきていることは否めない。背景の美しさも、言葉の美しさも相変わらずで、恋の切なさとか、孤独感というものが映画の全面から伝わってくるが、どれも既に見たものだ。そういう意味でちょっと過去作品を思い出すところが多かった。一部は過去の作品とリンクしているのか? と錯覚するところもあった。
もちろん、それだけで駄目というわけではないのですが、一言で言うと飽きました。
今回は三話構成ということで、てっきりそれぞれ別の話なのかと思いましたが、物語としては一本に繋がっています。第三話がやや内容を掴み辛いところもありますが、それは純粋に演出で基本的に不明な点は何一つありません。
気になったのは後半のヒロインの心情が全く描かれていない点です。まだ同僚の元彼女の方がわかるようにして、ヒロインの心情は一切見せない。主人公の心情はわかるわけだが、彼女の気持ちは説明は無い。まあ、説明の必要も無いって言えばそうなんですけどね。
私には、第一話の「永遠」に対し第三話の「時」の間に乖離があり、その隔たりが無情に人を孤独にする、という風に見えました。そういうところは読めたとしてもやはり三話は投げっ放し感がありますな。意図的なものと知りつつ、この終わり方はちょっと言葉が足りていない。演出意図が分かることと、納得出来るかは別のこと。これは監督自体が答えを出せないでいるからだろうか?
私は新海監督は好きな監督なのですが、もう少し新しい分野を開拓して欲しい。監督の持ち味というのはパターン化する宿命はあると思うが、今はもっと色々な方向で表現を広げて欲しい。特に登場人物に関しては変える余地がある気がする。「ほしのこえ」で監督のインタビューを見たがそこで監督が既に「キャラが弱い」ということを指摘している。その点は今作品も変わっていない。別にキャラものにしろという気は無いのだが、やはり監督なりの世界観でバリエーションを持たせることは重要な気がします。
まあ、三本くらいは同じ傾向の作品も有りだと思うので、次回作に期待します。
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