ヴェルダン/歴史の幻想 (1928) »レビュー

そして戦火はソンムへ

70点 2007/12/13 by アキラ

●お話●
第一次世界大戦中の1916年、ドイツ帝国。皇帝から軍にヴェルダン攻略の命が下りフランスに侵攻。フランス側の十倍近い火力や兵力。そして伝統ある兵法と賢い戦術。ドイツ側は圧倒的な戦力でフランス軍を蹴散らしヴェルダン地方に迫った。ところが仏軍もここでは粘って抵抗。ドイツ側の上層部はヴェルダン攻略に固執していただけに事態は膠着。まごまごしてる間にフランス側へ英国やロシア側からの援軍。他方からの攻撃にヴェルダンに兵力を集中させ過ぎていたドイツ側の防衛戦は崩れる。そして戦火はソンムへ。

●感想●
と、この映画の大筋を書くとそのまま欧州大戦の説明になってしまいます。1928年製作の仏映画。違和感なく実際の記録映画の映像も混ぜつつ表現主義的な虚構も大胆に混ざる。正にフランス実験フィルムとドイツ表現主義の中間にあるような作品。フランス側の作品だけど敵国であったドイツを批判的に描く事なく、戦況を的確に描写する中に双方の兵士たちの悲哀を滲ませています。むしろ随分と後になって制作されたルノワールの『大いなる幻影』なんかよりも適切かつ雄弁に平和への熱望を訴えています。

サイレントだから文字で言葉が挟み込まれる訳ですが、ドイツ人の台詞は独語でフランス人の台詞は仏語で解説部分は英語でと、今にして見るとEUマルチリンガル対応な作り。全て英訳字幕は入ってる訳だけど。激しい戦闘の合間に挟み込まれる兵士たちのエピソードが実にみずみずしく、『鶴は飛んでゆく』やら『誓いの休暇』やら『道中の点検』から『プライベートライアン』等、後の優れた色気のある戦争映画へ影響したと思える部分も多い。教材並に戦況を的確に説明しながらも実にドラマチックに演出された大戦の犠牲者達。

NFCにてヨーロッパ映画名作選

 

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