秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 〜http://鷹の爪.jpは永遠に〜
(2010)
»インタビュー
『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 〜http://鷹の爪.jpは永遠に〜』/FROGMANインタビュー
取材・文:山田井ユウキ
ゆるい雰囲気と魅力的なキャラクターたち、そして絶妙な掛け合いのセンスでブレイクしたFlashアニメ『秘密結社 鷹の爪』。今回で劇場版3作目となる『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE3 〜http:// 鷹の爪.jpは永遠に〜』は、これまでのお約束を引き継ぎつつも、さまざまな新要素が盛り込まれた盛りだくさんな内容に仕上がっている。その気になる制作秘話について、監督を務めたFROGMANに語ってもらった。
映画をイベントにする−『鷹の爪』仕掛け人の野望
『秘密結社 鷹の爪』シリーズが初めて映画化されたのは’07年。全編Flashによるアニメ映画は当時としては前代未聞であり、さすがのFROGMANも制作にはかなり苦労したという。3作目となった今、その心境はどう変わったのか。
「やはり3作目となると、慣れたというのが大きな違いですね。1作目はTVシリーズで10分間だったアニメを90分間やって作品として耐えうるのかとか、そもそもFlashアニメをどう映画にするのかとか、内容的にも技術的にも手探り状態でしたけど、今回はかなり余裕をもって制作できましたから」
だからというわけではないが、本作のストーリーには核問題や時事ネタの要素がふんだんに盛り込まれるなど、これまでの鷹の爪シリーズとはひと味違う社会派な内容に仕上がっている。
「オバマ大統領が誕生したのが大きかったですね。今までのタカ派な大統領から“核なき世界”を提唱する大統領になって、世界はすごく変わるだろうという期待があったんです。でもいじわるな視点から見ると、やっぱりアメリカのことだから『核なき世界』の裏には何かあるんじゃないかっていう風にも思っちゃう。そういう要素を入れたいなというのが今回はあって、うまく鷹の爪と絡められないかなと考えました。でも社会派な内容でも、オチはいつも通りなんですけど(笑)」
そんな濃い内容を映像面からサポートし、スケールアップさせたのが、『ALWAYS 三丁目の夕日』を手がけたことで知られるCG制作チーム・白組と山崎貴監督であった。
「以前、山崎さんのインタビューを読んだとき、“好きな作品は『鷹の爪』です”って答えておられたんです。それですぐ連絡して、図々しくも“今度3作目をやるときによかったらCG作ってもらえませんか?”と言ったら、即OKしていただいて。それからあれこれ相談して実現したんですけど、後から聞いたら僕たちがお願いしたCGの内容って、ものすごく作るのが大変だったみたいです(笑)」
また、今回はヒロインのジュリエット役にグラビアアイドルの川村ゆきえを起用したことでも話題を呼んだ。
「こんなこと言うのも何なんですけど、川村さんを起用したのはマスコミ対策の宣伝のつもりだったんです。でも実際に収録したら、ものすごく熱心に取り組んでくれて、僕の方が反省しました。最近、アニメって有名タレントを使うことに対してネガティブに反応する人が多いと思うんですけど、そう言う前にまずは作品を見てほしいなって思います」
数々の豪華なコラボにより大幅なバージョンアップを遂げた本作だが、しかし『鷹の爪』の持つ“ゆるいコメディ”としての本質は決して変わってはいない。
「今回も“バジェット・ゲージ”とか“あらすじタイム”とか、何だコレって笑える仕掛けを導入しているんですが、それは劇場に来て見てもらいたいから。どんどん映画をイベント化して、お客さん自身に参加している意識を持ってもらいたいし、『鷹の爪』という作品ならそれができるんじゃないかと思うんです」
“映画をイベント化する”――それが『鷹の爪』という作品に託した、FROGMANの映画人としての野望なのだ
FROGMAN '71年生まれ。蛙男商会代表。映像業界を経て独立し、Adobe Flashで制作したアニメーションによりブレイクを果たす。代表作は『菅井君と家族石』『秘密結社 鷹の爪』『古墳ギャルのコフィー』など。脚本・監督・作画・声優のほとんどをひとりでこなす。




