『I am GHOST』/ソ・ジソブ インタビュー
その翳りのある佇まいと、憂いのある表情――。演技スタイルを変えることなく、様々な挑戦を続ける男が、次に仕掛けるのは、日本のドラマ『I am GHOST』への主演だった。

独りよがりに造らない
徹底的に練られた人物像
キャラクターの言葉にはできない深みや影を、いまこれほどメディアで表現できる俳優はいないのではないか。映画『映画は映画だ』に続き、ドラマ『カインとアベル』でもそんな独特で重層的な存在感を放っていたソ・ジソブ。そんな彼の最新作はさらに興味深く挑戦的だ。『I am GHOST』というモバイル専用放送局Bee TVのドラマに主演するのだ。1話5分の全24話という形式で、現在、週に2回、放送されている。'08年の兵役終了後、常に挑戦してきたジソブだが、この選択には驚かされた。携帯電話で観るという新しいメディアでの露出、そして日本のオリジナルドラマを選んだ理由とは一体? そこから見えるのはジソブのキャラクターの咀嚼力に裏付けられた挑戦力だ。
「作品を選ぶときは、あくまでも内容優先です。今回、この作品を選んだのは、シナリオが面白かったこと。そしてGHOSTというキャラクターに魅力を感じたからです。また、携帯電話のドラマという形は初めて接するものなので、新しいことをやってみたいと思いました」
ジソブが演じるのは、第三国から送られてきたGHOSTと呼ばれる殺し屋。逃亡する中、心に傷を持った女子高生の愛と出会い、彼女に不思議なシンパシーを感じていく。
「GHOSTは心に傷を抱えたキャラクター。彼が出会った愛も、同様に痛みを抱えています。そんなふたりが、言葉は通じないけれど、仕草や目の動きで心を通わせ、互いの傷を癒していく。観客は、このふたりを観て心が癒されるのではないかと思ったんです」
多かれ少なかれ、人間は誰しも心に傷を抱えている。ジソブは、そうした人達に、このドラマを観ている5分間だけでも幸せを感じ、楽しんでほしいと思ったという。ただ、“5分間”という時間が、彼にとって新しい挑戦となった。
「携帯電話の小さい画面で観る、ということは特に意識はしませんでした。そこは、撮影する側がきちんとコントロールしてくれると思ったので。ただ、5分という時間の中で、演技にどう強弱をつけるか、という点は悩んだところですね。テンポが速い部分もあれば遅いところもあるし、インパクトが強いところもあれば押さえたところもある。その加減が難しかった。強いてはドラマ全体を通してのうねりにも繋がるので」
そんな中で彼が徹底したのは役になりきるというシンプルなことだけだったという。あとの部分は、園田俊郎監督を信じ、身をゆだねた。
「キャラクターが出来上がった状態でいればどんな状況でも対応できる。これはどの作品でも言えることですし、心の中までその人物になりきってから撮影に臨むようにしています。徹底的に脚本を読み込んで、そこに描かれた人間を見続け、人物像を作ることが必要です。ただし、そこで独りよがりになってはダメ。自分が考えるキャラクターと監督が考えているキャラクター、あるいは脚本家が考えたキャラクターと違ってはいけないから。だから現場では、出来るだけ監督と話し合うようにしています。俳優はひとつの役を与えられているにすぎないから、そこしか見えなくなってしまうんですね。でも、監督は全てを見渡している。監督が考える枠の中で自分はどうなのか? そのことを常に念頭に置いていなければダメだと思うんです」
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